#854 取材を受けました!!
〜今日の農業〜
––––季節は夏
この時期になると、作物は次々に収穫を迎え、旬のものとして各家庭の食卓に彩りを添える
そんな夏が旬のものたちのうち、今日はある作物の収穫の現場を見学してきた––––
この日収穫をするというM氏。彼は都内に住む大学生である。
実家は野菜を育てているという。
M「実家からは毎年この時期になると野菜が送られてきますぁ。今年はきゅうり、ピーマン、キャベツ。それからタマネギにジャガイモが送られてきたでよ」
送られてきた野菜の一部
そんな彼にとって、農作物を育てるということは子供の頃から親しんできたもの
M「去年は大学の生協で配っていたトマトを育てましたがね」
どうなったんですか?
M「結局収穫し忘れて枯らしちまったわいな。ガハハハ」
今年はトマトではないのか?
M「オォ。今年はトマトじゃねえっす。あ、今年のは今日が収穫だで、よかったら覗いていかんかい?」
M氏の誘いを受けて、私は収穫の現場を取材することにした。
M「ここに薬を入れるだ」
M「ほっからお湯を張る。この時は40度くらいのお湯がええですわ」
じゃばーーー
小慣れた手つきでお湯を満たしていく
M「夏は暑いけれども、だからっつって冷たい水をかけ散るようじゃまだまだひよっこのトーシロ。クロートっつうのはこうやってお湯を使うんですぁ」
M「いやぁ、懐かしいなぁ…。これをやるのももう何年ブリだっか…?」
幼き頃を思い出しているのだろうか。
そうこうしているうちに、お湯が溜まってきた
M「んじゃ、始めましょか」
ポーン
水槽に何かを投げ入れた
これは一体?
M「布団ですぁ。新鮮で活きのいいやつを収穫するにはこれがちょうどええ」
するとM氏は部屋へと戻っていった
布団はあのままでいいのか?
M「気にすることぁねぇ。あれはあのまましばらく放っておくのが一番だ。果報は寝て待てっちゅうやつだわさ」
取材班は彼の言葉に従ってしばらく待つことにした
〜1時間後〜
M「んじゃ、そろそろ行くべや」
部屋を出て、先ほどの布団へと向かう
ぐずぐず
M「オォ、ちょうどええ。これくらいが一番だ」
すると彼は突然服とズボンを脱ぎ始め、下着姿になった
今から何を?
M「何をって、今からが本番だわさ」
ジャブジャブジャブ
そう言うとM氏は布団を踏みしめ始めた
M「そうそう、この感覚だわ〜〜」
童心に帰って数分ほど布団を踏み続けていただろうか、M氏は私の方を見た
M「お前さんもやるかえ?」
私は取材の身として機材を濡らすわけにはいかないので…
M「ほうかい、それは残念じゃ…。また今度は取材じゃない時に来てくれや」
M「ほれ、見てみれ」
濁り水
これは?
M「これが布団の汚れだでさ」
彼の言葉を解説すると、こういうことになる
・夏は寝汗がすごい
・そうでなくとも1年以上は布団を洗っていない
・つまりこの布団は汗をたっぷり染み込ませている
・だから布団を洗って綺麗な布団を収穫しようとしている
M「だいたいこれくらいで良さげかいな?」
ダシ。
M「ほれ、これが今年1年分の布団の1番ダシだわさ」
見れば見るほどに濁りがわかる…。布団から採れるダシはこんなに黒いのか
このダシは飲めるのか?
M「バカ言うでねぇよ!!これは灰汁だらけだから一旦捨てる」
そう言うと今の濁りきった水を排水した
M「今のを飲もうとするなんて、お前さんは随分と胆が座っておるだなあ」
M「うちのおっかあみたいだわい!!」
褒められているのかどうかわからない。これがM氏なりの冗談だろうか
M「で、今みたいなのを何回か繰り返すぁさ」
そう言うと彼は2回目の作業に取り掛かった。
2回目の作業でも最初に入れた薬を入れ、お湯を張り、布団を入れた。
M「今度はさっきほど放っておかなくてもええかな」
そう言うと、先ほどよりも短い20分ほどで布団へと戻り、布団を踏み込みつづけた。
M「これが2番ダシ。まだ灰汁が混ざっとる」
飲めな
M「これも飲めないから注意すんだぞ」
言おうとしたことを先に言われた。
2番ダシ排水
M「おっし、これくらいで薬はよかろう。あとはお湯だけで何回か踏みしめればええわい」
お湯
お湯の時には10分ほど放置して踏みしめるのを繰り返していた。
そしてそれを3回ほど繰り返したであろうか。次の作業へ移った
M「これから最後の方の仕上げだで。ちょっとそこ場所代わってくれや」
場所を譲ると、彼は先ほどまで水に浸かっていた布団を手で持ち上げた
M「うんりゃ!!」
Mの雄叫びが聞こえる
M「ここで水をよく切っておくんだ」
Mの雄叫び
M「ウォリャ!!」
水の落ちる音がだんだんと小さくなっていった。
M「そしたらあとはここの縁に掛けるだ」
これはどれくらいかけておくもの?
M「感覚だと、1時間かそこらでねえかな。ここで手塩にかけて縁に掛けておくとより新鮮な布団が収穫できるだわ。手塩にも縁にも、掛ける。ダハハハ」
今日の作業はこれで終わりらしい。
改めて、M氏に生産者の意気込みを聞いてみた。
あなたにとって布団の収穫とは?
M「腰がいてえし腕も張る。足も使い方を誤れば捻挫間違いなしだわい」
M「でも、自分の生活が楽になる日がいつか来る、そんな希望を持って収穫すればその苦しみは忘れられるでさ」
M「お布団、サイコー」
取材させていただきましてありがとうございました
M「おう!!活きのいい新鮮のができたらまた来てちょ〜〜」
(バイオリンの妖艶なBGMが流れる)
––––今回の取材では、布団の収穫現場を取材してきた
彼は言った、布団はサイコーだと。そのサイコーさを求めて人々は布団を天日干しにするのだと
彼の天日干し後の布団には是非とも入ってみたいものである––––
(スタッフロールが出てくる)
<Fin>
次回放送内容
試験勉強が進まない大学生!!
なぜ今まで試験勉強をせずに遊び続けていたのか?!
1つのセメスター(学期)は約4ヶ月、毎日コツコツと勉強をしていればこんなことにはならなかったはずでは?!
「試験勉強が終わらねえええええ!!!!」(断末魔)
「「「お楽しみに!!」」」
というわけで布団を洗っていました。
明日は試験です。終わる気配が見えません
頑張ります。
それじゃ、また次の機会に